8.3 クロスサイトスクリプティング ( X S S) の防止

8.3 Flaskでのクロスサイトスクリプティング (XSS) の防止方法 #

Flaskでのクロスサイトスクリプティング (XSS) の防止方法 #

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、ウェブアプリケーションのセキュリティホールの一種で、悪意のあるスクリプトがウェブページに注入され、エンドユーザーのブラウザで実行される攻撃です。これは、ユーザーのデータを盗む、ユーザーの行動を偽装する、あるいはユーザーに不適切なコンテンツを表示させることができます。Flaskを使用したWebアプリケーション開発では、このような攻撃から保護するためのいくつかの方法があります。

1. 自動エスケープの利用 #

Flaskは、テンプレートエンジンとしてJinja2を使用しており、デフォルトでHTMLエスケープを提供しています。これにより、ユーザから受け取ったデータをそのままページに表示する際にXSS攻撃を防ぐことができます。

例えば、次のようにHTMLエスケープが自動的に行われます。

from flask import Flask, render_template
app = Flask(__name__)

@app.route('/')
def index():
    user_content = "<script>alert('This is an attack!');</script>"
    return render_template('index.html', content=user_content)

[index.html]

<!DOCTYPE html>
<html>
<body>
  {{ content }}
</body>
</html>

このコードでは、“content” が {{ }} で囲まれているため、特殊文字は自動的にエスケープされ、ブラウザはこれをスクリプトとして認識しません。

2. ユーザ入力の検証とサニタイズ #

ユーザからの入力を適切に検証とサニタイズ(クリーニング)することで、XSS攻撃を防ぐことができます。検証とは、入力が期待する形式と一致するかどうかを確認するプロセスです。サニタイズとは、潜在的に危険な文字や構造を安全な形式に変換するプロセスです。

例えば、次のような検証とサニタイズを行うことができます。

from flask import Flask, render_template, request
from bleach import clean
import re

app = Flask(__name__)

@app.route('/', methods=["GET", "POST"])
def index():
    user_content = ''
    if request.method == "POST":
        user_content = request.form.get("content", "")
        # HTMLタグを許可しない
        user_content = clean(user_content, tags=[], attributes={}, styles=[], strip=True)
    return render_template('index.html', content=user_content)

if __name__ == "__main__":
    app.run(debug=True)

このコードでは、Bleachというライブラリを使って入力をサニタイズしています。Bleachは、ホワイトリスト方式でHTMLのクリーニングを提供します。

3. HTTPヘッダーによる保護 #

ブラウザは、HTTPヘッダーを読み取って、ページで許可される動作を決定します。これにより、ある種のXSS攻撃を防ぐことができます。Flaskアプリケーションでは、‘flask-talisman’というライブラリを使用して、セキュリティ関連のHTTPヘッダーを簡単に設定することができます。

例えば、次のようにContent Security Policy(CSP)を設定することができます。

from flask import Flask
from flask_talisman import Talisman

app = Flask(__name__)
csp = {
    'default-src': '\'self\'',
    'img-src': '*',
    'script-src': '\'self\'',
}
Talisman(app, content_security_policy=csp)

このコードでは、デフォルトで自分自身(‘self’)からのみコンテンツをロードするように指示しています。これにより、攻撃者が他のソースから不適切なスクリプトをロードするのを防ぐことができます。

まとめ #

Flaskでは、自動エスケープ、入力の検証とサニタイズ、HTTPヘッダーの設定など、XSS攻撃を防ぐための機能が多く提供されています。これらの機能を適切に使用することで、Webアプリケーションのセキュリティを高めることができます。